なぜシチューを最近食べなくなったのか? その理由は「旦那の外飲み自粛」かも(日経トレンディネット)



 季節は夏真っ盛りだが、食品メーカーの秋冬商戦はすでに始まっている。ハウス食品はシチューの新たな市場を開拓すべく、2017年8月14日に新ブランドを発表した。それが、“シチューかけご飯”専用ルウ「シチューオンライス」。味は「チキンフリカッセ風(鶏肉のクリーム煮)ソース」「ビーフストロガノフ風ソース」の2種だ。

【関連画像】ハウス食品が行った調査によると、クリームシチューをご飯で食べる人の中で“わけ派”が約8割で、“かけ派”は約2割だった

 ハウス食品は約50年前に「シチューミクス」を発売し、家庭料理としてのシチュー市場を開拓した老舗メーカー。そのハウス食品がなぜ今、“シチューかけご飯”を仕掛けようとしているのか。同社食品事業二部の宮戸洋之部長によると、その背景にはシチューにおける「2011年問題」があったという。

 「それまでほぼ横ばいだったシチュー市場が2011年を機にダウンし始めた。その原因を分析したところ、シーズン期間のメニュー登場頻度が減っており、特に1週間のなかで頻度が最も高い金曜日が減少していた」(宮戸部長)。ただ従来型のアンケートなどの調査手法で理由を聞いても、その明確な理由は分からなかったという。

 そこで同社は消費者の本音を探るため、ウェブ共創プラットフォーム「Blabo!(ブラボ!)」上に「More シチューエーション プロジェクト」を設け、約1万4000人に「シチューに関して潜在的に感じている“モヤモヤ”」を募集。2015年5~11月までの約半年間で出たさまざまな意見を分析したところ、意外な“本音”が見えてきたという。

2011年からシチューが売れなくなった理由は「旦那の外飲み自粛」?

 なかでも衝撃的だった意見は、「旦那がご飯のおかずとして物足りないと思っている」というもの。さらにクリームシチューを作る動機として「主人の帰りが遅い」が上位にあったため、2011年の東日本大震災を機に金曜日の外飲みを自粛する“旦那”が増えた結果、金曜日の登場頻度が減少したのでは、という仮説に至ったのだ。

 さらに、「鍋つゆや簡便調味料など時短調理が可能な競合メニューと提供価値を比較したところ、『常備食材で調理できる』『作り置き温め直しができる』という点は有利だが、『ほかにおかずを用意しなくていいひと皿メニューである』という主菜としての価値が弱まっていることが分かった」(宮戸部長)。また、シチューの具材が多くてとろみが強めの世帯ほどヘビーユーザーが多く、具材が少なくとろみ弱めの世帯は「もう1品必要」と思われがちで、ライトユーザーが多いことも分かった。

 クリームシチューの登場頻度をアップさせるには、主婦の望むおかずが1品で済む“ワンディッシュ化”を実現させることが必須。そこで同社が着目したのが、一部ユーザーで定着している“かけシチュー”だった。「かけシチューを愛好している世帯はヘビーユーザーが多い傾向がある。これは、ひと皿料理で調理の手間や洗い物の手間が省けるという作り手の満足度と、食べ手の満足度が高いことに起因している」(宮戸部長)。そこで「旦那も喜ぶ、ひと皿シチュー」という戦略コンセプトのもと、ひと皿で完結する「クリーム味の新ライスメニュー」を提案すべく、“ごはんにかける専用シチューの素”を開発したのだという。

 市場拡大のためのコアターゲットは、「クリームシチューに潜在的な不満を抱えている、“かけ派ではない”主婦」。だが筆者を含め、「ご飯にシチューをかける」ことに抵抗を感じる人は少なくない。そうした層を “かけ派”に転向させるため、どのような仕掛けをしたのか。実際に作って食べてみた。

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