発売直前に明かされたRyzenの詳細




 Ryzenは、先行発表に続き、林先生による渾身のレビューや、なぜかジサトラ ハッチまで並んでいたらしい深夜販売など、ずいぶん盛り上がった。

 そして3月5日の現時点では、ほとんどのショップがCPUだけはかろうじて在庫があるものの、マザーボードが売り切れ状態になっている。とはいえ、以前に比べるとブツは潤沢に用意されるようなので、今回入手できなかった人も近日中に入手できるようになるはずだ。

発売直前に明かされた
Ryzenの詳細

 さて、この連載の中でZenコアの話は何度か説明しており、直近でも昨年12月のNew Horizonの話や、8月のHot Chipsでの発表内容は解説したが、実は2月22日の記者説明会の際に、もう少し細かな情報が開示されている。

 さらに、この記者説明会の前にはISSCC(International Solid-State Circuits Conference)でAMDがRyzenの回路技術について詳細を発表しているなど、実は情報が盛りだくさんである。

 そんなわけで、業界に痕跡を残して消えたメーカーシリーズはお休みし、数回に分けて現時点で公開されているRyzenの詳細を説明していこう。

 まずRyzen 7の製品ポジショニング。こちらはすでに複数のスライドに分散される形で公開されているが、基本的にRyzen 7はCore i7 Extreme Editionがメインのターゲットとなる製品である。

Ryzen 7の製品ポジショニング。なぜCore i7-6900KのみKが小文字になっているのだろう?

 なぜ最初から8コアかというと、これはRyzeに続いて投入予定のNaples(ナポリ)というコード名も同じ8コアを使うためであろう。

 もともと昨年まで、まずデスクトップ、次いでサーバー、その後モバイルという順序で製品を投入することを公言している。とはいえ現実問題としてデスクトップサーバーで別々のダイを同時に作れるほどの余力はAMDのにもGlobalFoundriesにもない。

 そうなれば、デスクトップとサーバーで共通のダイにする必要があるわけで、8コア構成になるのはなかば必須だったといえる。Core i7 Extreme EditionがXeon用のダイを流用する形で構成されたのとは逆パターンになるが、目的は同じということだ。

 ちなみにモデルナンバーのネーミングルールが下の画像だ。セグメント番号は7/5/3で、これはインテルに合わせた、というよりもすでにユーザーはインテルの7/5/3の分類に十分慣れ親しんでいるのが現実なので、ここであえて8/6/4などにしても混乱を招くからということだろう。

モデルナンバーのネーミングルール。末尾の型番を見るだけで、今後の製品展開がわかる感じだ

 ただこの結果として従来のAPUのセグメント番号は廃止になる模様だ。また4桁の数字の2番目のルールもなかなかおもしろい。さらに消費電力による末尾の型番も同様である。

 1つ明確なのは、グラフィック統合モデルはG付きになるということで、これはグラフィックの有無で末尾の型番が変わらないインテルよりわかりやすいかもしれない。

待機時の消費電力が非常に低い

 次がPrecision BoostとXFR、Pure Powerの話。これらのメカニズムは連載387回で説明したが、この結果としてどう動くか? という例が下の画像である。

Precision BoostとXFR、Pure Powerによるクロックの変動。この図では見やすくするために100MHz刻みでポイントしているが、実際は動作周波数は25MHz刻みで調整される

 Ryzen 7 1800Xの場合、定格3.6GHz、ターボ時4GHzというスペックになっているが、もっと正確に書けば以下のようになっている。

  • 定格:3.6GHz
  • 全コアアクティブ状態でのターボ動作時:3.7GHz
  • 2コア以下がアクティブの場合のターボ動作時:4GHz
  • XFR有効時:4.1GHz

 このうちXFRは本当に一瞬(温度が許す範囲)だけのアップでしかないが、ブーストクロックに関しては長時間利用可能となっている。したがって定格は3.6GHzということになるが、CPUがP1ステートに入ると3.2GHzに、P2ステートあるいはPminステートに入ると2.2GHzまで動作周波数が落とされることも明らかにされた。

 林先生のベンチマーク結果を見てもわかるとおり、Ryzenは特に待機時の消費電力が非常に低い(比較対象がAMD FX-8370なのでわかりにくいという面もあるが)。

 こと待機電力に限って話をすれば、インテルの65WクラスのCPUと比較しても負けない程度の省電力性が実現できている理由の一端は、Pure Powerを利用しての省電力管理がかなり厳密に行なわれているためである。

対応チップセットは3種類

 次はプラットフォーム。現在発売されているAM4対応マザーボードのほとんどはX370チップセットを搭載したものだ(一部B350搭載モデルも発売された)が、まもなくB350を搭載したものも次々と投入されてくると思われる。さらに低価格なA320も用意されているようだが、これがいつ投入されるのかは明らかになっていない。個人的にはRyzen 3あたりに歩調を合わせてくるような気がする。

タイプマザーボード。現状はX370チップセットを搭載したマザーボードが奪い合い状態なので、まずはこれをなんとかしてほしいところだが、これはAMDというよりもマザーボードメーカーへの要望となるだろう

 そのプラットフォームのスペックの詳細が下の画像だ。オーバークロック動作やSLI/CrossFire対応を除くと、X370/B350/A320の違いはUSB 3.1 Gen2/USB 3.1 Gen1のポート数、それとチップセット側から出るPCI Expressレーンの数が主な相違点となる。

 もっと厳密に言えばA320は倍率ロックがかかることになるが、これは低価格向けなのでオーバークロック機能は要らないと判断されたのかもしれない。

プラットフォームのスペックの詳細。X300/A300は詳細がまだ明らかになっていない。これはスモールフォームファクター向けとあるが、スペック的にはモバイル向けという感じがする







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