【新・仕事の周辺】円城塔(作家) もっと気楽に生きたい



 文字を書いて暮らしている。

 これはもう、書いた文字数がそのまま生活に直結していると考えてもよい。1日に1万円が必要だとする。1日に1千文字書けるとするなら、1文字10円という計算になる。

 書家ではないから、原稿はワードプロセッサーで書いて電子メールで送る。当たり前だが、誰が打っても同じ形の文字がでてくる。猫がキーボードの上を歩くということでもよい。

 そういう、いまひとつ実体に欠けるものがお金に換わる理屈は、いくら考えてもよくわからない。狐(きつね)につままれるというものかもしれず、原稿料はある日、木の葉になっているかもしれない。

 いっそ、「あ」という文字だけを書き連ねてお金がもらえないかと思うが、こちらはこちらで不思議なことに駄目らしい。

 しかたがないので多少は工夫をすることになり、そうすると1日に書くことができる文字数に限りがでてくる。増収を目指すならば単価を上げるしかない。数十円というのはありうるが、100円にまでもっていくのは難しそうだ。1文字100円ともなると、こちらも、うかうかと書いてはいけないような気持ちになって、スランプということにもなりかねない。




こんな記事もよく読まれています



コメントを残す