FRBのデジタル通貨構想「フェドコイン」とは?(NRI研究員の時事解説)



FRBが中銀デジタル通貨の発行を検討か

米連邦準備制度理事会(FRB)が、中銀デジタル通貨の発行を検討しているとの観測が足もとで高まっている。そのきっかけとなったのは、ウォールストリート・ジャーナル紙が報じたニューヨーク連銀のウィリアム・ダドリー総裁の11月29日の発言である(注1)。それによると同氏は、「FRBによる仮想通貨の供給について話すにはあまりに尚早だが、われわれはそれについて考えている」と述べ、FRBによるデジタル通貨の発行について、既に検討を始めた可能性を示唆したという。さらに同紙によれば、サンフランシスコ地区連銀のジョン・ウィリアムズ総裁も同じ11月29日に、中銀デジタル通貨の発行が、今後10年にわたり「非常に刺激的な(研究)分野」になるとの見通しを示したという。

中銀がデジタル通貨発行のきっかけは?

ただしこうしたFRB高官の発言が、近い将来に米国で中銀デジタル通貨(通称フェドコイン)の発行につながるものとは言えないだろう。そもそも最近まで、FRBは世界の中銀の中でも、中銀デジタル通貨の発行に比較的慎重な姿勢であったと考えられる。一般に、中銀がデジタル通貨の発行を真剣に検討するきっかけとなるのは、民間のデジタル通貨(仮想通貨)が小口決済手段として現金をかなり代替し、それが(1)中央銀行の金融政策の有効性を低下させる、あるいは、(2)その利用から排除される中高齢者あるいは低所得者を救済する必要が生じる(いわゆる金融包摂)、などと考えられる。

スウェーデンでは現金利用率が大幅に低下

2017年11月には、南米のウルグアイの中央銀行が、世界初となる中銀デジタル通貨「eペソ」の発行を正式に発表して世界を驚かせた。ただし、ウルグアイの中銀デジタル通貨は、現時点では半年という期限付きのテスト(パイロット・プログラム)という位置づけである。中央銀行の中で、本格的な中銀デジタル通貨の発行に最も前向きであり、また議論が進んでいるのがスウェーデン中銀である。スウェーデンでは、名目GDPに占める現金の比率が足もとでは1.8%程度(2015年)にまで低下しており、信頼できるデジタル通貨をすべての人が安心して利用できるようにするために、中銀がデジタル通貨を発行するメリットが大きくなっている。これに対して米国では名目GDPに占める現金の比率は7.4%程度(2015年)と比較的高水準を維持しており、現金利用の低下が中銀デジタル通貨発行の強いインセンティブとなっているスウェーデンとは状況が大きく異なっている。



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