商工中金の民営化へ提言 多難な船出、“ぬるま湯”変えられるか



 完全民営化が提言された商工中金。解体は免れたが、同社に今後、期待される中小企業の経営再建と事業承継の支援は多くの金融機関にとってハードルの高い難しい事業領域だ。国の補助金という“ぬるま湯”に漬かり続けた組織が、与えられた4年間で新たなビジネスモデルへと変革できるのか、多難な船出が予想される。

 商工中金が中小企業の支援を行うことになったのは、優れた技術を持ちながらも、テクノロジーの進展や環境変化に対応しきれず、苦境に立たされている中小企業が多いからだ。特に後継者問題は深刻で、経済産業省によると、2025年には70歳以上の経営者が約245万人に上るが、ほぼ半数の127万人は後継者が決まっていないという。

 こうした問題に対して、商工中金は解決のための提案を行いながら、新たな融資につなげることが求められてくる。

 ただ、大手銀行で事業承継などを担当する幹部は「すぐに稼げるようになる簡単な事業領域ではない」と話す。後継者問題や経営の細部について、経営者から本音を聞くには信頼関係が不可欠だからだ。ただでさえ信用を失った商工中金が、こうした関係を構築するのは容易ではない。

 経営者の相談に乗ってアドバイスをしても、融資などが発生しなければ金融機関には一銭にもならないことも多い。職員には高度な専門知識や経営スキルも求められる。金融庁は数年前から地域金融機関などに、この領域に進出するよう促しているが、思うように進んでいないのも、これらの課題は容易にはクリアできないからだ。

 11日の有識者検討会で多胡秀人委員(地域の魅力研究所代表理事)は、同様の事業を行う地銀が10年がかりで軌道に乗ったことを紹介した上でこう指摘した。

 「事業の骨格もできたし第三者が監視する仕組みもできた。新たな社長像にも言及したが、実際に動くのは常勤(職員)だ。必死にやらないと4年後は解体しかない」(蕎麦谷里志)




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