3分で納得! 社会人のためのマネー力UP講座 第6回 深く考えず、取りあえず入るべき保険



ここ数年、海外旅行者が増え続けています。年に1度と言わず、連休を利用しては何度も行く旅慣れた方もたくさんいます。

訪日外国人旅行者数・出国日本人数の推移(出典:観光庁「出入国者数」)

初めての海外旅行では、海外での様々なトラブルを聞いたりガイドブックで見たりして、不安になって取りあえず保険(海外旅行傷害保険)に入る方がほとんどです。一方で旅慣れている方ほど、「慣れているし大丈夫。最初は入っていたけど使ったことなんてないし、今はイチイチ入りません」と言うのです。

保険クリニック調べでは、旅行者全体では72.4%が海外旅行傷害保険に加入しているというデータが出ています。裏を返せば、4人のうち1人は加入していないということです。

海外旅行保険の加入率(出典:保険クリニック「海外旅行先でのトラブルについてのアンケート」2016年10月13日)

ですが、このご時世だからこそ絶対に入った方がいい理由があるのです。海外旅行傷害保険で補償する内容にはいくつかあります。主な補償とその特徴を確認していきましょう。

傷害死亡・後遺障害

海外旅行中の事故によるケガが原因で事故の日を含めて180日以内に死亡したり後遺障害が残ったりした場合に保険金がもらえます。ふだんから死亡した場合に保険金がもらえる保険(定期保険、終身保険、養老保険、医療保険に死亡特約等)に加入している方は、重ねて加入しなくてもいいかもしれません。

疾病・傷害治療費用

海外旅行中に事故にあってケガをしたり病気になったり、また旅行後であっても72時間以内に発病して治療をした場合等に保険金がもらえます。

ただ、国から加入を義務付けられている国民健康保険や健康保険には、海外でかかった治療費の一部が払い戻される海外療養費制度や高額療養費制度があります。旅行先の国によっては自己負担が大きくなる場合もありますが、万一の場合には貯蓄で払うという考え方もアリでしょう(イタリアのフィレンツェのように医療費がかからない場所もあります)。また、ふだんから医療保険や普通傷害保険に加入している場合、海外での病気やケガも対象になります。

賠償責任

お店のものやレンタルしたものを壊してしまって弁償しなくてはならないような場合に保険金をもらえます。ホテルのルームキーを紛失してしまったという、さほど大きくない金額の話から、トイレに入ったら突然便座が外れて割れて請求されたという話も。日本のようにメンテナンスが行き届いてなく、言葉も通じない中で弁償する羽目になる場合もあるようです。この補償は、法律上の賠償責任を負った場合が対象になります。

壊すものによっては高額になって貯金では賄えない場合もあるでしょう。ふだんから個人賠償責任保険に入っていても、多くの個人賠償責任保険では海外での事故については補償の対象外となっています。加入しておいた方が安心でしょう。

携行品損害

バッグやカメラ、時計などが盗まれたり壊れたりした場合に保険金をもらえます。また、航空会社に預けた荷物が届かない場合に保険金がもらえる場合もあります(手荷物遅延として携行品損害とは別に補償がある場合もあります)。ただし、現金は補償の対象外であることがほとんどです。初めての海外旅行ではあると安心ですが、万一の場合でも貯蓄で賄えるという説も。

ちなみに筆者は、飛行機の乗り換えが多く、また乗り換え時間の短い旅の場合には手荷物遅延特約を付加します。海外の飛行機は遅れることも多く、乗り換え時にダッシュさせられることも多いのですが、現地の空港スタッフさんが筆者のスーツケースを持ってダッシュすることはないようです。筆者がダッシュするとほぼ荷物は届いていません(筆者の経験値)。そんな場合に現地で必要なものを買い物することができるため、遅延を楽しみに賭けのような気持ちで加入したりもしています。

救援者費用

旅行先で入院した、行方不明になったなど、生死が確認できないような場合に、家族が現地に行ったり移送したりするための費用として保険金をもらえます。

最近では観光地でテロが起こるなど、自分の注意だけでは防ぐことができない場合も考えられます。仮に現地で事故やテロがあり行方不明となった場合、家族が現地へ向かうことになります。ツアーの場合には、ツアーを開催した旅行会社が手配してくれることがほとんどですが、緊急事態なので飛行機の予約が取れ次第といった状況です。つまり、ビジネスクラスやファーストクラスが用意されてしまう場合もあります。その代金は当然、家族に請求されます。

また、旅行会社の方の情報によると、仮に遺体となって政府チャーター機などで日本に戻った場合、政府チャーター機も無料ではありません。当然、家族に請求されます。

会社命令で仕事として海外に行く場合には会社が負担してくれたとしても、個人旅行の場合には誰も負担してくれません。

補償の内容によっては貯蓄で賄えるものもあります。ですが、特に最近のテロ等を考えた場合、救援者費用については保険で用意しておくべきでしょう。海外旅行上級者の方も、海外旅行傷害保険は自分のためではなく、家族のためだと視点を変えてみてください。クレジットカードに附帯されている場合もあれば、搭乗口付近で加入できる機械を設置している空港もあります。楽しい旅行なので深く考えなくていいです。「取りあえず」加入してから旅立ってください。



執筆者プロフィール : 国分さやか

お金の教室 おさいふほんわか心もほんわか 代表
創価大学教育学部を卒業後、旧日本興業銀行の保険代理店や政府系金融機関に従事。”得をする方法を知りたい!”という一般生活者が多いものの、実は金融知識の不足から損をしている場面、しかも損をしていることにすら気付かない場面があまりに多い現実に問題意識を抱く。これを解消することを決意し、金融教育に携わる仕事を希望してFPの資格を取得。金融資産が増やすことだけでなく、幸福度数も増えることを大切にしている。現在、個人相談業務と並行して、金融の基礎知識を学ぶためのセミナーやFP資格講座、高校・大学、企業への出張講義などで活動中。

2013年
・第4回日本一のマネー講師決定戦E1グランプリにてグランプリ受賞
・第4回FP向上のための小論文コンクールにて奨励賞受賞
2014年
・三省堂より初めての出版(その後、学研出版等より計5冊の出版)
・日本FP協会電話相談員
・資格の学校TAC専任講師
2015年
・NHKラジオ「午後のまりやーじゅ」「ごごラジ!」お金のコーナー担当
2016年
・日本FP協会パーソナルファイナンスインストラクター

<保有資格>:CFP、FP技能士1級、相続アドバイザー2級、小学校教諭第一種、幼稚園教諭第一種


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