訪日客、目標の4000万人視野 多様化するニーズへの対応課題



 2017年の訪日外国人旅行者数が過去最多を更新し、政府目標の4000万人が視野に入ってきた。年々増える訪日観光は定番の団体ツアーや買い物から、家族や友人と楽しむ個人旅行や、滞在中にさまざまな日本文化などを体験する“コト消費”へと広がっており、目標達成に向けてはこうした訪日形態の多様化への対応が急務となる。

 「エネルギーと躍動感にあふれた大阪はニューヨークと共通点が多い」。世界的ホテルチェーン、マリオット・インターナショナルのクレイグ・スミスアジア太平洋社長は、ホテルブランド「W(ダブリュー)」の日本第1号の開設地に大阪を選んだ理由をこう説明した。

 近年の大阪は訪日客の急増で街の風景が一変した。目抜き通りの御堂筋は「大阪のシャンゼリゼ」として買い物にいそしむ外国人でにぎわう。膨らむ宿泊需要に国内外のホテルチェーンが相次いでホテル新設計画を公表。東京などを含めた主要都市部では18~20年にかけ、ホテルの開業ラッシュを迎える。

 日本政策投資銀行と日本交通公社が昨夏、アジアや欧米豪の12カ国・地域約6300人を対象に実施した調査では、訪日経験者(約2800人)の93%が「地方(観光地)に旅行したい」と回答。旅行目的には「温泉」や「郷土料理」などが挙がり、地方への誘客も進んでおり、今後は多様化するニーズへの対応力が課題になる。

 例えば19年開催のラグビーのワールドカップ(W杯)。日本旅行業協会の田川博己会長は「ラグビー強豪国のファンは約1カ月間かけ日本国内を周遊するが、ロングステイできる施設が少ない」と話す。施設開発は西武ホールディングスなどが進めるが、夜間娯楽の不足なども指摘されている。また、観光地の認知度の偏りも課題だ。政投銀の担当者は「全国には知られていないままの観光資源も数多い。ネットの口コミ効果だけに頼らず、地域の売りとしたいものをターゲット市場に対して地道に発信し続けることが、訪日客の取り込みにつながる」とみている。(日野稚子)




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