いわゆるキュレーションサービスの利用実情をさぐる(不破雷蔵)




多様な情報を処理することが求められる日常生活において、高機能で高機動力なスマートフォンの登場は人々のライフスタイルを一変させてしまった。そのスマートフォンの普及浸透と共に注目されている新サービスが「キュレーションサービス」。ニュースサイトを中心に、利用者の需要に合わせて自動的にコンテンツを集約して再構築し、あるいはダイジェスト版を生成し、独自のウェブ総合誌を生成して提供するもので、情報を効率よく入手したい人に対するコンシェルジュのような存在。今回は総務省が2017年7月に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)の公開値を基に、そのキュレーションサービスの利用状況を確認する。

次に示すのはいわゆるキュレーションサービスの利用状況。今調査の調査用質問用紙では「スマートニュース、グノシー、NewsPicks などのニュースアプリ」とあり、具体的にスマートニュースとグノシー、NewsPicksの名前が挙げられている。しかしながらその内情、性質、機能からは一次ニュースを公開しているとの錯誤が生じやすい「ニュースアプリ」の表記よりも、「キュレーションサービス」の方がより適切であるため、また報告書でも「キュレーションサービス」との表記がなされていることから、今記事ではそちらを用いる。

↑ ニュースを読んでいる媒体(2016年、複数回答、キュレーションサービス)
↑ ニュースを読んでいる媒体(2016年、複数回答、キュレーションサービス)

全体では8.9%、男女別では男性の方が比率は高く、大よそ1.5倍の値を示している。単純な年齢階層別では20代がもっとも多く1/5程度、30代が約1割に下がり、40代以降はさらに大よそながら歳と共に減少していく。

就業形態別では若年層の利用が多いことから当然学生・生徒の利用率が高く1割強、次いでフルタイムの就業者の利用者が多い。年収別では傾向だった値動きはないものの、最低年収層の利用率がいくぶん低い。利用可能な端末(多分にスマートフォン)の利用性向が影響している部分もあるのだろう。そして居住都市規模別では大よそ都心部ほど利用率が高く、地方ほど利用率が低くなる。町村部の11.8%がずば抜けているのはイレギュラーかもしれない(町村部の回答者は合わせて144人)。

今件について、複数のテキスト系ニュースメディア(紙媒体の新聞やニュースサイトなど。映像媒体であるテレビニュースや音声媒体のラジオニュースは含まず)の中でもっともキュレーションサービスを利用していると回答した人の割合で見たのが次のグラフ。要はニュースサイトや新聞よりも、キュレーションサービスをニュース取得ツールとして活用している人の割合。

↑ もっともニュースを読んでいる媒体(2016年、複数回答、キュレーションサービス)
↑ もっともニュースを読んでいる媒体(2016年、複数回答、キュレーションサービス)

全体では3.0%。大よそ33人に1人。年齢階層別では10代から30代が5%前後で多く、40代以降は下がる。就業形態別では学生・生徒の人が多く、フルタイム就業者やアルバイトが続く。年収別では最高年収階層でもっとも高く5%超、次いでやや低年収層で高めの値が出る。そして都市規模では大よそ同じような値で傾向だった変化は無い。

つまみ食い文化とも表現できるように、スマートフォンの限定された面積の画面を用い、短時間で出来るだけ多くの情報を、ざっと見したい需要に、シンプルにまとめられたソーシャルメディアのニュースや、さらにそれを取捨選択するキュレーションサービスは大いに応えている。

他方最近では各コンテンツの美味しい所取りで情報作成元では恩恵がほとんど得られない(つまみ食いで満腹感を覚え商品を買ってもらえないようなもの)、キュレーションの大本の語源となるキュレーター(学芸員)のような正確さに欠け、集約された情報が雑多でノイズが多いとの意見も少なくない。キュレーションサービスは言い換えればニュースにおける検索エンジン的な役割を求めているとも表現できるが、その検索エンジン同様情報の雑多さや運営側の思惑により、精度の劣化が起きている感もある。

今後同サービスがどのような進化を経ていくのか、注目したいところだ。

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「分かりやすい」イコール「正しい」ではない

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p class=”nobr”>※平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査

2016年11月26日から12月2日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13歳から69歳を対象とする1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時併行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。




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