新体操のセクシークイーン・ハルキナ(BLR)、種目別クラブで値千金の銀!(椎名桂子)




大会1日目から日本の皆川夏穂が種目別フープで銅メダルを獲得し、俄然注目度の上がった第35回世界新体操選手権だが、種目別では、金メダルを2つずつ、アヴェリナ姉妹(RUS)が分け合った。

リオ五輪に出場していたマムーンやクドリェフツェワらが引退しても、次世代女王と期待されていたソルダトワが負傷しても、ちゃんと世界選手権で金メダルを獲る選手が出てくるのが新体操大国・ロシアの恐ろしいところだ。

個人総合でも予選1位となったディナ・アヴェリナは、フープとクラブで種目別優勝。ボールとリボンは2位。

個人総合予選2位のアリーナ・アヴェリナは、ディナの双子の姉で、ボールとリボンで種目別優勝。フープは2位。クラブでも2位となれば、姉妹で種目別の金、銀メダルを独占するところだったが、クラブでこの姉妹に割って入り、種目別銀メダルを獲得したのが、カチャリーナ・ハルキナ(BLR)だ。

今年から適用されているルールの影響で、新体操の演技にはかなり器用性が求められるようになってきている。アヴェリナ姉妹の演技などは大小さまざまな投げに次ぐ投げで、その技術力には舌をまくばかりではあるが、いささか忙しすぎるきらいはある。

2013年以降の新体操のルールには、ステップが義務付けられたり、芸術性の面での減点が実施で行われるようになったりして、より芸術性を高めようという方向にはある。実際、2013年からリオ五輪に向けての4年間は、新体操は一時期に比べるとかなり見ていて面白い競技になってきたように感じられた。

ところが、リオ五輪後に行われたルール改正によって、今のところ、どうもやや「手具操作の難しさ」に偏重気味になっているような感がある。今シーズンのW杯の山崎浩子強化本部長によるレポートにも(日本体操協会のサイトに掲載されている)「とにかく手具が宙に浮いている時間が多い」「手具を手に持っている時間がほとんどない」といった表現が見受けられた。

採点競技である以上、そのときのルールが求めるものに即して、点数を稼げる演技をすることにはなんの問題もない。

「4回転ジャンプが得点になる」のならば、男子フィギュアの選手たちは競って4回転ジャンプを跳ぶようになった。

そういうものだ。

2016年イオンカップでのハルキナ選手
2016年イオンカップでのハルキナ選手

アヴェリナ姉妹は、おそらく現行ルールの申し子のような選手なのだろう。

種目別決勝での得点を見ても、彼女たちの点数が抜きん出ていることがそれを証明している。

(フープ2位のアリーナと3位皆川の点差は、1.300、ボール2位のディナと3位ブラディノワ(BUL)との点差は、0.750、

 リボン2位のディナと3位アシュラム(ISR)の点差は、0.550)

しかし。その最強姉妹が、ただ1つ種目別クラブの銀メダルだけを獲りこぼした。

その貴重な銀メダルを獲得したのがカチャリーナ・ハルキナ。

イオンカップにはジュニアころから出場していた選手で、2012年にはイオンカップのジュニア部門で優勝もしている。

リオ五輪にも出場し、6位と健闘したが、同じベラルーシにはリオ五輪5位のメリチナ・スタニオウタというトップ選手がいたため、常に2番手という位置づけの選手だった。

スタニオウタが引退し、いよいよベラルーシのトップとなったハルキナは、個人総合予選でも5位とメダルを十分狙える位置にいる。

種目別クラブでの銀メダル獲得で勢いづいて、個人総合決勝ではなんとかメダルを獲得したいところだ。

イオンカップでなじみがあるから、というだけでなく、ハルキナは日本でも人気があり、非常に印象のよい選手だ。

なんと言っても、その笑顔がいい。現在、20歳だが、年齢より少し大人っぽく見える女性らしい雰囲気が魅力的な選手だが、笑顔だけは年齢よりも若く見えるほど、屈託がない。

技術的にもジュニア時代から、非常にバランスのよい選手で、身体難度のレベルも十分高く、表現力もあり、同時に手具操作の技術も高かった。極端に飛び抜けた部分があるというよりも、すべてが高いレベルでそろっているので、演技を「作品」と言える魅力をもって見せることのできる選手だった。

笑顔がとてもチャーミングな選手で日本でも人気がある
笑顔がとてもチャーミングな選手で日本でも人気がある

それでも、リオ五輪までは、マルガリータ・マムン(RUS)やガンナ・リザディノワ(UKR)、スタニオウタなど、芸術性の高い、表現力に富んだ演技を見せる選手たちがいた。彼女たちに比べればハルキナの演技は、やや優等生的で強烈な個性や感情表現では後れをとるように見えなくもなかった。

しかし、今回の世界選手権では、ぐっと世代交代が進み、20歳のハルキナや皆川夏穂でさえ「ベテラン」に見えるほど、選手たちの若年化が進んだ。加えてルール変更による手具操作のあわただしさだ。

こうなってくると、ハルキナの演技は、段違いに芸術的に見えた。音楽によく合ったアクセントの感じられる動きが、手具操作も面白く見せていたし、なんと言っても、音楽がBGMに感じられなかった。表情も豊かで、その演技から、音楽や感情が溢れているように感じられた。

昔から「いい選手」ではあるが、決して勝負強い選手ではなかった。

肝心なところミスが出てしまうような弱さもあり、そこが人間としてはチャーミングな選手でもあった。

そんなハルキナに、今回はぜひメダルを獲ってほしいと思う。

彼女のような演技こそが、「観るスポーツ」としての新体操の黄金バランスではないか、と思うからだ。

そして、つい先日、フィギュアのリプニツカヤ選手の引退報道で話題になった摂食障害。

どうしても「より細く」を求めがちなのは新体操も同じだが、ハルキナはその点でも、希望の星だ。

新体操選手としてはややふっくらしている、女性らしいスタイルのハルキナの演技は、健康的な美しさとはこういうものなのか、と示してくれる。

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p class=”nobr”>個人総合決勝は、9月2日(土)CS(テレ朝ch2) 深夜01:00~04:15(25:00~28:15)に放送される。

日本の皆川夏穂、喜田純鈴にもおおいに応援したいが、ぜひこのハルキナにも注目してもらいたい。

<写真提供:松田優>※2016年イオンカップのもの




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