アップル次の10年、小さなPCという画面のお化けから次の世界へ(えふしん)




先日のアップルの新製品発表会。ライブ配信で見ていたが、ソフトウエアとプロセッサの進化の重要性が伝わってきた。ここ数回で一番退屈しない楽しいイベントだった。最後まで興奮気味に見ていた。

iOS11からマシンラーニング、ニューラルネットワークの演算機能がOSレベルで提供される。

その応用例として人間の顔をライブで認識して、アバターに表情を反映するアプリケーションや、フォトショップのように人間だけを識別して映像をくりぬく、また、多少の化粧などをしていても認識してくれる顔認証などが公開されていた。一卵性双生児の双子なら認識するんでしょうね。

要は今までサーバサイドで一生懸命計算していたAIのロジックを、iPhoneのアプリケーションに組み込むことができる。今までにない曖昧な状態を活用できて、面白いアプリケーションが出てくることが期待できる。

アプリのUI/UXから引き出される人間の試行錯誤とAIが組み合わさって、ようやくエージェント指向が来そうな印象を持った。

一方で、スマートフォンという製品カテゴリそのものは成熟しきっている。まるでWindows PCで動いていたようなゲームがiPhoneが動いている映像を見ていて、PCからスマートフォンのシフトは成功したが、スマートフォンから次のシフトはまだ成功していないことに気が付かされる。

PCからスマートフォンの進化は、ある意味、継続的イノベーションでもあったのかもしれない。iPhoneの成功要因はコンソールゲームを駆逐するレベルの高品質なビューの進化だったからだ。

iPhone Xは「画面のお化け」としての究極系にほぼほぼ達した。あとは顔認識のカメラが隠れれば「ベゼルレスの画面の板」が完成する。

iPhoneが「小さなPC」「究極のモバイルPC」として大成功したものだとすると、一方で、本来は非連続なイノベーションの本命であって欲しいApple Watchの第三世代の進化はまだ限定的だ。

Apple Watchのような小さな画面のデバイスを支えるためには、Siriの音声認識を始め、AirPodsのようなワイヤレスデバイスとの連携、そして、今回発表された無線充電などが重要だ。今回のソリューションにはどれも無駄がなく、正しい戦略を突き進んでいると思った。

基本的にはApple Watchにおける画面はおまけであり、本質的には画面がないシチュエーションにどこまでユースケースを広げていくかがこれから求められることだ。

今回は、心拍計測による異常検知とApple Music + AirPodsによる音楽視聴体験の進化である。もうランニングする人は腕に200gものiPhoneをつけて走らなくていい。

心拍計測の異常検知などは、人間のユースケースとしては、まだまだ人間側の認識の進化が必要である。人間は自分が病気になるまで調子に乗るものだし、雨が降ってから傘を買う生き物だと思っている。予め準備して継続的に予防するなんてのは、一部の優秀であるか、性格的にマメな人間がやることだと思うので、うまく普及していくと良いと思う。

まずはランニングやウォーキングの心拍計測から始まって、中毒的に普及すれば、もう人間はウェアラブルデバイスから離れられなくなる。

Apple Watchの初期に、汎用プラットフォーム戦略を取ったのはまだまだ失敗で、せっかく出したWatchKitアプリも管理しきれずに撤退する企業も増えた。その結果か今のApple Watchは、フィットネスやヘルスケア、そして電話などの特定のユースケースに集中しているようだ。

iPodも最初は音楽体験のためのデバイスだったんだから、そこまで無理しなくてもよかった気がしますね。

今後、プロセッサパワーとソフトウエアの両方が進化することでApple Watchは化けるだろう。センサを常時稼働して人間のステータスをキャプチャし続けるとなると、なんでもありのアプリというよりは、HealthKitのような限定的なユースケースのサードパーティ連携などが今後起こりうる道であろう。スタートアップのやり方も変わってきそう。

直近は成熟したiPhoneの方で、アプリケーションやサービスのAI化が進んでいくであろう。その試行錯誤の中で「曖昧なユースケースを楽しく使える何か」がどんどん出てくることで、結果的に、Apple Watchや違う名前の画面レスなインターフェースにおいて有益なユースケースが増えてくることを期待する。

そういう時代を夢見つつ、その入り口にあるiPhone XとApple Watch第三世代とAirPodsとAirPowerは買えたらいいなと思うわけですが、全部買ったら相応の出費にはなりますね。




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