突破を懸けた第3戦、U-17日本代表は先発刷新へ。勝負の「ラウンド16」へ布石(川端暁彦)



第3戦、相手はニューカレドニア

 世界地図なり地球儀なりを持って来て「ニューカレドニアを指さしてください」と言われたときに、正解できる日本人は果たして何人いることか。「オセアニアの島」という認識がある人すら、少数派かもしれない。現状はフランスの海外領土であるが(遠からず変わるかもしれないけれど)、FIFA(国際サッカー連盟)では加盟国の一つであり、一個の代表チームを編成する権利を持っている。サッカー的には1998年W杯のフランス代表優勝メンバーであるクリスティアン・カランブー氏の故郷として知られている。カランブー氏はフランス国歌「ラ・マルセイエーズ」を歌うことを拒否し続けたが、それは独立を願って戦っていた彼の故郷・ニューカレドニアに対する思いゆえとされる。

 ワールドクラスの名手を輩出したこともあるとはいえ、今回が初出場となるニューカレドニアはやはり大会の「お客さん」であるのは否めない。いきなりフランスとの対戦となった今大会初戦は1-7の大敗。続くホンジュラスとの第2戦も0-5の惨敗に終わった。力の差は明らかで、出場したこと自体に意義があると言うべきチームである。1勝1敗で第3戦を迎えた日本だが、このニューカレドニアに大敗しなければグループステージ突破が決まるという状況であり、何か焦るようなシチュエーションではない。負ける相手ではない上に、負けても突破濃厚という状況なのだから、これはもうその次の試合、大一番となるラウンド16を見据えて戦うべき試合だ。

元より「主力組」だけで戦える大会ではない(写真:佐藤博之)
元より「主力組」だけで戦える大会ではない(写真:佐藤博之)

 グループステージをあくまで「通過点」と見なしていた森山佳郎監督は、この試合での先発メンバー刷新を大会前から示唆していた。実際、前日練習を観る限りは先発11人中9人が入れ替えとなりそうだ。21人登録でGKが3人いるという選手編成を思えば、マックスの変更となる。これによって日本は登録21人中20人が先発出場を経験することとなりそうだ。GKには梅田透吾(清水ユース)、DFは右から池高暢希(浦和ユース)、馬場晴也(東京Vユース)、監物拓歩(清水ユース)、鈴木冬一(C大阪U-18),中盤も右から中村敬斗(三菱養和ユース)、山崎大地(広島ユース)、福岡慎平(京都U-18)、椿直起(横浜FMユース)、そしてFWには山田寛人(C大阪U-18)と追加招集で第1戦直前に合流していた棚橋尭士(横浜FMユース)が入った。

とはいえ、である

 グループステージの第3戦で主力を休ませ、ノックアウトステージに備えるのは定石の一つ。ラウンド16での先発が予想される中村と福岡については出場時間を限定するだろうし、イエローカードを受けている選手たちについては途中出場も回避することになるだろう。あくまで勝負は次の試合と見据えた上での用兵だ。

 もっとも、こうした試合で主力を休ませた「だけ」で終わってしまうと、かえってチームが勢いを失うことも珍しくない。過去、別の年代別代表の大会において、こうした第3戦での主力組の横柄な態度が控え組を怒らせてしまい、続くノックアウトステージの初戦に大きな影を落とすことになったということすらあった(逆に言うと、ここまでサポートに徹してきた選手たちを、サポートされてきた主力組が気持ち良く送り出して見守ることができれば、チームの結束を深めるチャンスではあるのだが)。

森山佳郎監督の言葉へ真剣に耳を傾ける選手たち(写真:佐藤博之)
森山佳郎監督の言葉へ真剣に耳を傾ける選手たち(写真:佐藤博之)

 そして当然、ノックアウトステージに向けての試運転という意味合いもある。

 まずは何と言っても「先発じゃなくて本当に悔しかった」(池高)、「もうちょっと時間が欲しかった」(椿)と溜め込んできたモノを持つ選手たちが、そうした思いをどこまでピッチ上のパフォーマンスとして発揮できるかどうか。単なる自己中心的なアピールプレーを指揮官が求めているわけでは当然ないが、「どうせ出られないさ」といった冷めたプレーをする選手が一人でもいるようだとチームの士気は落ちてしまう。

 間違いなく大会最強クラスの国とぶつかることになるラウンド16は、本当の大一番だ。「試合に飢えている選手たちに、ギラギラメラメラしたところを見せてもらいたい」と指揮官が語ったように、ノックアウトステージに向けて「次もこいつに託してみたい」と思わせてくれる選手が出てこないようでは、ここから先の勝ち残りは自ずと苦しくもなる。主力を休ませた「だけ」の試合になってしまうのか、フランス戦の失意を経ての一戦でチームが新たな勢いを得ることができるのか。日本時間の10月14日20時半より始まるニューカレドニア戦。「消化試合」と思われかねないシチュエーションだが、意外にこういう試合こそがチームの分水嶺となる。


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