オリックスからFAの平野佳寿とDバックスとの2年契約をどう評価すべきか(豊浦彰太郎)



2017年Dバックスはナ・リーグワイルドカード・ゲームを制した(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)


オリックスからFAとなりMLB移籍を目指していた平野佳寿の所属先は、アリゾナ・ダイヤモンドバックスに決まった。契約条件は2年総額600万ドルで、各年100万ドルの出来高払いが付帯するようだ。就活は、長引くこともなく案外あっさり決まった印象がある。Dバックスはフェルナンド・ロドニーが去って、クローザーが現在は空位になっている。平野の守護神起用の可能性もあるかもしれない。

近年は奪三振率も低下している34歳(来季開幕時)に対する期待度としては、結構高いと言えるだろう。おそらく、制球力、切れ味鋭いスプリッターという日本人投手のメジャーでの成功要素を備えていることが評価されたのだと思う。何せ、メジャー全体でも最も球威がない部類に属する上原浩治があれほどの実績を残すことができたのも、この2つをしっかりと備えていたからだ。継続的な活躍が可能かどうかは未知数だが、少なくとも初年度はソコソコやれるのではないか。

もっとも、Dバックスにとってはそれほど負担感のない金額だった。平野の今季のオリックスでの推定年俸は3億円だった。Dバックスでの保証額300万ドルを115円/ドルで計算すると3億4500万円となる。この金額をどう評価すべきだろうか。

今季の平均年俸が400万ドルを超えたMLBでは、FAの救援投手に支払う契約の年平均額としては平均的なところだ。そして、Dバックスは来季からローカルテレビ局との総額10億ドルを超える放映権契約がスタートする。この程度の出費は痛くも痒くもないかもしれない。しかし、日本では3億円は外国人選手を除けば、十数人だけが手にする大台だ。それどころか、前述のメジャー平均の400万ドル(約4億6000万円)に到達しているのは、推定5億円の金子千尋くらいだ。彼我の差はもうどうしようもない程にまで広がってしまった(もちろん、球界が云々ではなく、この四半世紀日本がデフレでその間アメリカの物価はけたたましく上昇したのだが)。

平野の場合は、環境を変えるリスクを勘案すると、世間一般的には「転職」を決断するほどの上昇額ではない。やはり、世界最高峰のレベルでプレーしたいというアスリートにとっての自然な欲求とともに、NPBでの閉塞感の現れだろう。選手の海外流出によるNPB空洞化は大いに懸念すべきだが、「出て行く奴はケシカラン」という張本勲流の考えではどうしようもない。「出て行かれる」NPBにこそ喝(本当は「活」が正しいのだが)を入れるべきだろう。


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