主要国の対外純資産額をさぐる(不破雷蔵)



・主要国対外純資産のプラス額でのトップは日本でプラス349.1兆円。マイナス額トップは米国のマイナス947.2兆円。

・日本の対外純資産の大半は民間によるもの。

・対外純資産のGDP比では香港がプラス366.9%でトップ。日本はプラス60.4%。

主要国では対外純資産のトップは日本

国単位での資産額は対外債務(対外負債。海外から色々な形で借り受けているもの)と対外債権(対外資産。海外に対して色々な形で貸し付けているもの)を相殺した、特定の国から他の国々に対する「対外純資産額」で示される。その額について日本や主要国の実情を、財務省の公開資料「本邦対外資産負債残高の概要」などから確認する。

さて「本邦対外資産負債残高の概要」に記載されている主要国の対外純資産、つまり対外資産と対外負債を相殺した対外純資産(マイナスならば純負債)の額を記したのが次のグラフ。

↑ 主要国対外純資産(兆円)(公的+民間)(2016年末)(為替レートは各年末IFSレートで算出)
↑ 主要国対外純資産(兆円)(公的+民間)(2016年末)(為替レートは各年末IFSレートで算出)

米国のマイナスでの額の大きさが際立っている。その額、実に947.2兆円。該当諸国内ではプラス額では日本がもっとも多くプラス349.1兆円、次いで中国がプラス210.3兆円、ドイツのプラス209.9兆円の順。ただし今件はあくまでも日本円に換算した上での比較であるため、為替レートの変動により大きな影響を受けることも覚えおく必要がある。

なお、これらは民間部門と公的部門を合算した額。日本に限ればその内訳は次の通りとなる。

↑ 日本の対外純資産内訳(兆円、2016年末)
↑ 日本の対外純資産内訳(兆円、2016年末)

大部分が民間による取得であることが確認できよう。

不測の事態が生じた際、中央銀行や一般政府(公的部門)以外の、いわゆる民間部門の資産が公的部門と同様に国の意志で容易にコントロールできるとは限らない。二世代世帯における、「住宅を保有する親夫婦」と「同居する子供夫婦」の資産を合わせたようなものと考えればよい(親夫婦が子供夫婦の家計から勝手に使い込みをすることは許されない)。しかしながら住宅に居住する単位(=国単位)で資産を考える際には、今件は十分以上に役立つ指針となる。

GDP比で考えてみる

続いて上記の対外純資産を各国のGDP(国内総生産)のどれ程の割合なのか、その度合いで考えてみることにする。

各国の年ベースにおけるGDPは、IMF(国際通貨基金)のデータベースから該当国の該当年データを抽出した上で(米ドルベース)、各国の純資産額を算出した年数にあわせた為替レートで円に換算。その値を用いてGDP比を算出する。

↑ 主要国対外純資産GDP比(兆円)(公的+民間)(2016年末)(為替レートは各年末IFSレートで算出)
↑ 主要国対外純資産GDP比(兆円)(公的+民間)(2016年末)(為替レートは各年末IFSレートで算出)

香港やスイスが相当大きな値を示している。極端な表現だが、香港の場合ならばすべての債務・債権を一度に清算できた場合、香港が1年間に稼ぐ総生産額の3倍強を手にすることができることになる。

無論資産も負債もすぐに換金・償還できるわけでは無い。「相殺する」計算に深い意味合いは無い(古切手や古銭、美術品を山ほど抱えていても、大金が必要になった時にすぐに換金できるわけでは無いのと同じ)。他の値も併せ、その国の財政状態を概要的に知る程度のものでしか無い、状況の改善を模索するための参考資料程度のものであることに留意しておくべき。同時に、概要的な状況を推し量る指針の一つとして、心に留め置いても損は無い値なのも事実ではある。

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(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。




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