原油価格が高騰している5つの理由(小菅努)




国際原油価格が高騰している。NYMEX原油先物相場は、昨年末の1バレル=60.42ドルに対して、1月11日の取引では一時64.77ドルまで上値を切り上げている。これは2014年12月以来の高値であり、16年2月の26.05ドルからは約2.5倍の値上がりになる。ICEブレント原油先物相場に至っては、1月11日に一時70ドルの大台に乗せており、原油価格の復調が強く印象付けられる状況になっている。
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ではなぜ原油価格は高騰しているのだろうか。ここではマーケットが注目している5つの理由を紹介したい。

■理由1:地政学リスク

2017年末から18年にかけて急浮上したテーマが、地政学リスクである。昨年は専ら北朝鮮情勢が注目されていたが、原油市場における関心が高まっているのはイラン情勢である。イランでは年末・年始に大規模な反政府デモが発生したことは国内メディアでも大きく報じられたが、それに伴う供給障害は発生しなかった。しかし、トランプ米大統領はイランとの核合意見直し、追加制裁に意欲を示しており、米国=イラン関係の悪化が不測の供給障害を招くリスクが警戒されている。

■理由2:在庫減少圧力

よりマクロな視点だと、世界的な原油在庫の減少圧力も原油高に寄与している。世界経済の好調さを背景に需要が堅調に推移する一方、石油輸出国機構(OPEC)やロシアなどが協調減産を実施する中、原油需給バランスの指標となる在庫は急激に落ち込んでいる。米国の場合だと、昨年3月時点では5億3,000万バレルを超えていた原油在庫が、直近では4億1,950万バレルまで減少している。しかも、11月中旬以降は8週連続で減少中であり、需給環境の正常化が強く印象付けられる状況になっている。

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■理由3:シェール生産統計の悪化

一方、原油高を抑制する要因としてシェールオイルの生産動向が注目されていたが、昨年12月以降はやや低調な指標が目立つことも、原油高に安心感をもたらしている。こちらは積極的な相場の押し上げ要因というよりも、下落圧力を阻止する要因になる。米国の石油リグ稼働数は昨年12月8日の751基をピークに、1月5日時点では742基まで落ち込んでいる。また米産油量は昨年12月15日時点の日量979万バレルに対して、1月5日時点では949万バレルまで減少している。「原油価格高騰→シェールオイル増産」のフローが確認できないことも、投機買いに安心感をもたらしている。

■理由4:ドル安

また、為替市場でドル安圧力が発生していることも、ドル建て原油価格の押し上げ要因になっている。米経済は好調であり、金融政策も段階的な利上げが行われるなど、ドルを取り巻く環境が大きく悪化している訳ではない。ただ、最近は日欧など米国以外の国の金融緩和政策も是正されるとの見方が、ドル相場を押し下げている。ドルインデックスは昨年10月27日の95.15ポイントをピークに、1月12日時点では91.68ポイントまで下落し、昨年9月20日以来の安値を更新している。最大で3.6%ものドル安圧力が発生していることは、それに相当する原油価格の上昇率を正当化することになる。

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■理由5:投機マネーの動き

そして意外と大きな影響があるのが、投機マネーの動向である。国際原油需給が緩和から正常化に向かう過程において、投機筋はこれまでの売りポジションを急ピッチで解消している。それと同時に買いポジションを積み増しており、原油市場では投機主導の価格押し上げ圧力が急激に高まっている。NYMEX原油先物市場における大口投機筋の買い越し枚数は、昨年6月27日時点の32万7,188枚に対して、1月2日時点では62万4,213枚まで拡大している。世界的な株高の影響もあって投資家のリスク選好性は強くなっており、必要以上の投機資金が原油市場にも流れ込んでいる。

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