レアル・マドリーが窮地に。安定しない守備陣と、「BBC」解体が招いた悲劇。(森田泰史)




リーガエスパニョーラ連覇の夢が、潰えようとしている。ジネディーヌ・ジダン監督率いるレアル・マドリーの正念場だ。

クラシコで敗れたショックは払拭できなかった。2018年最初のリーガの試合でセルタに引き分け、未消化試合を1試合残しながら首位バルセロナとの勝ち点差は16ポイントにまで開いている。

■昨季マドリーを王者に導いた得点力

マドリーは今季、公式戦で66得点を記録している。決して低い数字ではないが、昨季はこの時点で83得点を記録していた。

なにより、C・ロナウドが深刻な決定力不足に陥っている。今季スペイン・スーパーカップ第1戦で受けた処分により開幕から4試合を欠場したC・ロナウドは、リーガ13試合で4得点。昨季は負傷で出遅れたが、リーガ17試合を終えた時点で、13試合に出場して12得点を挙げていた。

だがC・ロナウド以上に苦境に追い込まれているのはベンゼマだ。リーガ12試合で2得点という状況で、本拠地サンティアゴ・ベルナベウでは交代でベンチに下がる度にマドリディスタからブーイングを浴びせられている。

ただ、C・ロナウドの最大の理解者はベンゼマである。ベンゼマは時にサイドに流れ、時に相手DFラインとMFラインの間に位置取り、攻撃の起点になる。「スペース職人」と称せるほどに空間把握能力に長けるフランス人ストライカーを「戦犯」扱いして先発から外しても、C・ロナウドの得点力回復にはつながらないだろう。

■ポゼッションが高まるという矛盾

マドリーが改善すべき部分はどこなのか。原因は意外なところにあるのかもしれない。

昨季、マドリーはシーズン前半戦で1試合平均2,79得点を記録。今季は、1試合平均2,00得点だ。

だが1試合平均パス本数(昨季578本/今季642本)、パス成功率(84%/85%)を見ると、今季の方が高い。加えてポゼッション率(53%/58%)においても、向上がみられる。

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p class=”nobr”>パスを回しているが、得点を決められていない。ジダン・マドリーは、かつて宿敵バルセロナが陥っていた悪癖に嵌っているのである。

※データはウィンターブレークに入る前のリーガ第16節時点のもの

■「BBC」解体とシステム変更

ジダン監督は昨季終盤、ガレス・ベイルの負傷離脱を受けて4-3-3から4-4-2へとシステムを移行した。「BBC」解体を決断したのである。

その恩恵を受けたのがイスコだ。カセミロ、ルカ・モドリッチ、トニ・クロースと共に中盤に組み込まれたイスコは、トップ下で輝いた。ピッチを自由に動き回り、C・ロナウド&ベンゼマを自在に操った。そして、マドリーにはリーガ優勝・チャンピオンズリーグ制覇という2タイトルがもたらされた。

その残像を、ジダン監督は拭えなかったのだろう。今季序盤戦でベイルが再び負傷離脱を強いられたという事情もあるが、指揮官は当然のように4-4-2を現チームの基本システムとしている。中盤の人数が増えたことでポゼッションこそ高まったが、攻撃の枚数が少なくなり得点力が減ってしまったのだ。

■狙われるマルセロの裏

リーガ1部で戦うチームの分析力は侮れない。マドリーにボールを持たせ、カウンターあるいはセットプレーで仕留めればいい。いつしか、そういう共通認識が出来上がった。

マドリーはここまでリーガで16失点を喫している。9位レガネス(14失点)より失点数が多い。とりわけ、左サイドの守備は脆弱だ。約40%がマルセロのサイドを突かれての失点なのだ。

ジダン監督はそれを早い段階で察知していた。テオ・エルナンデスを獲得したのは、マルセロの後釜を確保するために限らず、戦術の幅を持たせ、マルセロをサポートする目的もあった。

事実、ジダン監督は今季何度か「ダブルサイドバック」を試している。マルセロとテオを左サイドに縦に並べ、SB型の2選手が前後で入れ替わりながら互いを補完し合う関係性を築こうとした。だがこれまでのところ、指揮官の試みは成果を挙げたとは言い難い。

先日「緊急ミーティング」を開いたといわれているジダン監督だが、現時点でその効果は現れていない。早急に解決策を見つけられなければ、シーズン終了後に解任の憂き目に遭う可能性が高まることになる。




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