[寄稿]租税か、寄付か、家族投資か?(ハンギョレ新聞)



 低い租税、低い社会支出国家である韓国が、一日で福祉国家になることは不可能だ。それなら中位租税負担、中位福祉国家を指向することが正しい。そして寄付を困難にさせている制度と法を改め「社会的相続」の慣行を拡散しなければならない。

 文在寅(ムン・ジェイン)政府も増税カードを取り出した。増税なしには福祉は不可能との市民社会陣営の当然の問題提起が受け入れられたが、あの程度の増税では福祉国家の建設どころか大統領の公約も満たすことはできないという指摘は依然有効だ。増税案が出てくると「税金爆弾」論が再び登場した。租税を財産権の侵害と見る勢力の力は依然として強大だ。

 成長を通じて経済全体のパイを大きくしなければならないのは当然だが、韓国は成長が自然に雇用と福祉をもたらさないということも十分に確認した。それで、公共支出の拡大を通じて雇用を拡大し、国民の生活の質をどのように向上させるのか、将来どんな社会経済システムを作るのかを議論しなければならない。それは、誰が、いくらを、どんな方式で多く出して、どのように使うのかという問題だ。

 韓国の租税負担率と社会福祉支出が経済協力開発機構(OECD)の最下位水準ということは常識だ。世界中の人々が暮らしやすい国と折り紙をつける北欧国家は、すべて租税負担率が高く公共社会支出の比重がきわめて高い。反対に社会の両極化で葛藤が激しい国の大部分では租税負担率が低いが、それは国家が国民のために実際にできる財源が不足して、各自が自らの暮らしに責任を負わなければならないためだ。しかし、このような国々は脆弱な福祉を慈善と寄付で埋める。資本主義国家を単純に分類すれば、高い租税で公共福祉を維持する国と、低い租税による社会破壊のリスクを慈善と寄付で防ごうとする国とに区分することができるはずだ。北欧の福祉資本主義が前者ならば、米国・英国などアングロサクソン型慈善資本主義は後者に属する。

 当然、欧州の中北部国家は、生活の質が高く社会の統合性も高い。租税負担率が低いという点で韓国は英米型国家に近いが、慈善や寄付もこれらの国と比較できないほど低いという点で、まだこのような国家の隊列に入れていない。すなわち、福祉、教育、医療、住居の相当部分を私的に負担しなければならない韓国では、“能力ある”階層とそうでない階層間の格差と葛藤が非常に深刻だ。いわゆる「金銀土の匙階級論」はここから出てきたものだ。

 韓国は家族の責任、家族投資国家だ。国家や社会に対する低い信頼水準と公共サービスの不足が、家族主義を強化してきた。大金持ちが反則で金を儲けても税金もろくに納めず社会的責任も負わないために、小金持ちも財産を無条件に子どもに譲ろうとする。国家の公共インフラの拡大で、無料で得た不動産財産が子どもに便法相続されることが最も正しくないことだ。財閥、マスコミ、私学、大教会など、事実上公共的性格を持っている機関が特定の家族に独占、相続される形態は、韓国社会の浅薄な水準を物語る。

 低い租税、低い社会支出国家である韓国が、一日で福祉国家になることは不可能だ。それなら中位租税負担、中位福祉国家を指向することが正しい。そして寄付を困難にしている制度と法を改め「社会的相続」の慣行を拡散しなければならない。租税負担率が高かったり寄付が活性化された国々は、すべて国民の政治参加率が高かったり信頼水準が高い。すなわち国民が政治過程から排除されず、政府を信じてこそ自発的に税金も納め寄付もするという話だ。小さな富は努力と幸運の結果だが、大きな富はすべて国家や社会のインフラから得られたものという考えが定着しなければならない。

 中位の福祉国家になるためには、司法の正義樹立、行政の公正性と透明性の確立、そして社会的大妥協が必要だ。大企業に対する各種の特典や租税減免措置をなくさなければならず、不労所得は厳格に追徴すべきで、不法便法相続の慣行を撲滅しなければならない。また、国民の80%は今より所得税と消費税をより多く納めなければならない。総合不動産税はもちろん、土地保有税の導入も積極的に検討しなければならない。

 一方、韓国のように国家がすべてのことを主導する国では、社会的力量強化のために慈善よりは公共領域に対する寄付を一層奨励し活性化しなければならない。文化人が政府の支援のみに依存する場合、朴槿恵(パク・クネ)政府のブラックリスト作成事件のようなことが起きる。文化、教育、学術領域の財団設立が拡大してこそ、社会が丈夫になる。

 政府は租税と寄付を徐々に高めて、後進的な家族投資国家から社会連帯国家に履行するためのロードマップを示さなければならない。

キム・ドンチュン聖公会大NGO大学院長、新たな百年研究院長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)




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