変革の成否を握る「ビジネスプロセス」とは何か(日経BizGate)



しょせんプロセス、されどプロセス

 「あなたの会社では日々の業務を、ビジネスプロセスにのっとって行っていますか?」この質問に胸を張って「はい」と答えられる社長さんはどれくらいいるでしょうか?「ビジネスプロセスにのっとっている」と答えた社長さんも、自分の会社でどのようなビジネスプロセスが定義されているのか、すぐ答えられるでしょうか?

 私は、日本国内においては、会社が組織としてビジネスプロセスを定義し、現場担当者がその定義にのっとって業務を実施しているケースはかなり少ないと感じています。現場担当者に同じ質問を行うと「ビジネスプロセスはきちんと定義されています」と返答することがありますが、それはほとんどの場合、「現場担当者の頭の中に、属人的な仕事の手順が記憶されていること」を指しています。

 現場担当者の頭の中であっても、存在していれば、問題ないように思えるかもしれませんが、その状態はビジネス上のリスク以外の何ものでもありません。従業員が転職や退職などすれば、その人の頭の中にある仕事の手順は容易に会社から失われ、混乱が訪れます。

 変革プロジェクトの成否もビジネスプロセスが握っています。私が経験してきた大規模変革プロジェクトでは、業務を大幅に変更する必要がありましたが、現場担当者の頭の中にしかビジネスプロセスがない場合は、それをすべて明らかにするところからプロジェクトを始める必要がありました。そもそも、ビジネスプロセスの何を、どこを変更すべきなのか、現状がわからなければ変革プロジェクトを進めることはできません。

 変化の激しい時代に、ビジネスプロセスを定義するのは無駄だという人はいます。顧客は短期間で入れ替わり取引条件も変わります。新製品を次々と出さないと売り上げは維持できませんが、製造や配送の手順は製品ごとに変わります。そのため、ビジネスプロセスは、現場担当者の頭の中にある状態が最も現実的だというのです。

 しかし、私は「しょせんプロセス、されどプロセス」だと思います。理由はこれから説明しますが、ビジネスプロセス(および、その定義)は、ビジネス戦略を科学的に実現するために不可欠であり、あるべきビジネス戦略の実現を目指す変革プロジェクトにとっても同様に不可欠だからです。

 そもそも、ビジネスプロセスとは何でしょうか。ビジネスプロセスを簡単に言えば、業務で実施する活動の集まりです。例えば、法人向けのITシステムの営業では、「RFP(提案依頼)」→「提案」→「見積もり」→「契約」といった業務の流れがありますが、「提案」「見積もり」などの1つ1つをプロセスと呼びます。

 また、ビジネスプロセスは「概要レベル」~「詳細レベル」まで、詳しさに応じて階層化されます。例えば「提案」というビジネスプロセスが「概要レベル」だとすれば、「提案」は、さらに「顧客の問題/課題設定」「ソリューション検討」「提案書作成」「提案書内部承認」といった「詳細レベル」のビジネスプロセスに分かれます(これは一例です。プロセスの定義や粒度は会社によって違うものです)。

 本来、ビジネスプロセスは、会社にとって、あるべき姿のビジネスモデル(価値を創出する仕組み)や、そのオペレーティングモデル(組織のあり方)の実現を目指すべくビジネス戦略に沿って定義されるもので、そのビジネスプロセスにのっとって業務を行うことで、現場担当者は会社の価値創造へ貢献することができるという関係にあります。

 その目的を達成するため、ビジネスプロセスは思慮深く定義されます。そして、現場担当者は、ビジネスプロセスに基づき的確に業務を実施するように教育される必要があります。またビジネスプロセスにオーナー(ビジネスプロセスオーナー)がアサインされ、担当したプロセスについては絶対の責任を持つことが大切です。




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