セブン、イオン、ユニクロがトップ交代期、カギは「創業家」(ダイヤモンド・オンライン)



 流通大手が世代交代のタイミングを迎えている。セブン&アイ・ホールディングス、イオン、さらにはファーストリテイリングという大手がこの数年内にトップが交代するはずである。セブン&アイは創業家への大政奉還が果たせるか否か、イオン、ファストリは子息への譲位が円滑に進むかどうかが焦点となりそうだ。(流通ジャーナリスト 森山真二)

● トップのセンスが重要な流通業 ダイエーの故中内氏はなぜ失敗したのか

 流通業とは、いわば「変化対応業」である。そのためトップのセンスが経営を大きく左右するといっても過言ではない。その点でいえば、ダイエーを創業した故中内功氏は、抜群のセンスを発揮してダイエーグループを数兆円規模まで拡大したが、「子息への譲位」を強く意識したがために、経営の歯車が狂い始めたことでもよく知られている。

 中内氏は「子孫に美田は残さない」と言いつつも、プロ野球球団や果てはリクルート(現リクルートホールディングス)の買収にまで手を広げ、2人の子息に美田を残そうとした。この結果、借入金が“天文学的数字”にまで膨れ上がって苦境に陥り、産業再生機構の支援を受けてイオン傘下入りという結果を招いた。

 中内氏は晩年、「経営はパソコンとパートがあればできる」などとし、自らに諌言してくれる人材を排除していく。こんな発言の内容からして、持ち前のセンスと経営の方向性を見失っていたのかもしれない。

● イオンとセブンは数年内にトップ交代か セブンは創業家に大政奉還!?

 世代交代、禅譲も一歩間違うと大変なことになるが、ダイエーを傘下に入れたイオン、さらにイオンと流通の覇を競うセブン&アイも数年内にトップ交代の局面にあるといっていい。

 イトーヨーカ堂を創業した伊藤雅俊氏に次ぐ“第二の創業者”といわれた「コンビニの父」、鈴木敏文氏の電撃退任で、急きょセブン&アイのトップの座に就いた井阪隆一氏。

 井阪氏の実直な性格はつとに知られており、鈴木氏が会見で井阪氏の「自分一人でやってきた」という発言に「がっかりした」と述べているが、「鈴木氏に向かってそんな高慢な態度をとるような人ではない」と関係者は井阪氏を評す。

 そんな性格の井坂氏のことだから必ずや、次の社長候補としてヨーカ堂創業者の伊藤雅俊の次男、順朗氏を指名して創業家への「大政奉還」を考えているはずである。

 伊藤家は創業家でありながら、鈴木敏文政権下では冷遇されてきた。伊藤雅俊氏の長男、裕久氏は専務まで登りつめながら突如辞任しているし、順朗氏はCSR統括部というあまり重要でないポストに長らく塩漬けにされてきた。

 それもこれも鈴木氏が長男、康弘氏を自らの後任候補として考えていたことに主因があるが、鈴木氏の電撃的な辞任で、セブン&アイから鈴木色が一掃された。つまり焦点は、創業家であり大株主である伊藤家が経営の実権を握るか否かに移っているといえる。

 セブン&アイの第一線を退いた鈴木氏は「経営と資本の分離」を強く訴え、創業家だからといって、経営の実権を握り続けるのはおかしいというような発言をしてきた。

 井阪セブン&アイ社長は「鈴木イズム」の継承者ではあるが、それはそれ、これはこれ。おそらくトップ人事をめぐっては、今回自らの社長就任を支援してくれた「伊藤家にバトンを渡す」というのがセブン&アイ関係者の一致した見方である。

 そのタイミングはいつか――。

 順朗氏は昨年の人事で取締役常務執行役員に就任しており、現在井阪氏、副社長の後藤克弘氏に次ぐナンバー3のポジションにいる。

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