グーグルやアマゾンへの課税で社会保障や教育財源確保を(ダイヤモンド・オンライン)



 安倍首相は、さきの衆院選の公約で、消費増税分を教育無償化などの財源により多く振り分ける使途変更を掲げた。社会保障の配分が高齢世代に偏っていることは、長年、指摘されてきたから、それを見直すこと自体は、大きな意義がある。

 だが一方で、消費増税分を財政再建にあてる額が少なくなった分(1兆7000億円)については、穴を埋めていく必要がある。

 その具体策として提案したいのは、アマゾンやグーグルなど、日本人を相手に日本で経済活動をし、莫大な収益を上げながら、現在の国際課税原則の下で法人税負担がほぼゼロというような状況を見直すことにより、彼らからも税負担を求める工夫をすることだ。

● グローバルIT企業にも 応分に負担させ租税回避を封じる

 消費増税の使途変更で、国債減額などが少なくなった分を補う場合、一層の「歳出削減」と所得税を中心とした「増収」が基本になる。

 歳出削減は、ICT(情報通信技術)の成果を医療などに活用し、エビデンスに基づく医療・介護の体系作りを進め、効率的な医療や介護サービスを行う体制作りが鍵になる。

 一方、増収の方は、年金税制を改革して、給与所得と年金のダブル受給者の二重控除を改めることなど地道な努力が必要だ。

 こうしたことに加えて、IT企業などの租税回避を封じ、応分の負担を求めることも考えるべきだ。

 この点では、自国でビジネスをして収益を上げながら税負担をしていないIT企業に対して、何とか税負担をさせるためのと対策を練るEUの議論を学ぶことが有益だ。

 デジタルエコノミーにより、国内に工場や販売拠点といった「物理的施設(PE)」を設けずに国境を越える事業活動が行われるようになったことから、「価値が創造された所」と「実際に課税が行われている所」とが分断されてきた。

 アマゾンに代表されるような国境を超える電子商取引は、顧客の所在国に販売店などの物理的拠点を持たなくても行えることから、彼らが収益を上げる(消費者が存在する)「国・場所」では課税されず、低税率国やタックスヘイブンに留保、つまり“納税”されてきた。

● EUの議論が参考になる 法人課税の概念修正を検討

 これに対しEUは、以下のような議論を行い、課税に向けて努力している。

 まず、形式的には合法でも行き過ぎた租税回避行為に対して は「一般的否認規定(Anti-Tax Avoidance Directive)」を導入し、その税効果を認めない(否認する)こととした。

 G7諸国で、このような規定が導入されていないのは日本だけだ。これは税制をつかさどる国会や税制当局、学会などの怠慢と言えよう。

 またEUは、日本も加盟しているOECD(経済協力開発機構)と協力して、特許権や商標権といった無形資産を低税率国に移転した場合に適用される「移転価格税制」をより精緻にし、課税を強化する方向で検討を進めてきた。

 これらに加えて、現在議論されているのが、以下のことだ(17年10月のEU経済・財務相理事会=ECOFINの非公式会合のリリース資料による)。

 それによると、短期的解決(quick fix)として、国外からの広告取引に対して、「equalization levy」(平衡税と訳され、国内外の事業者の課税の不公平を是正するために国外事業者に同等の税負担を課すというもの。ただ、具体的な内容は明らかでない)などの検討が行われている。

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