銀行口座が多い人ほどお金が貯まらないのはなぜか?(ダイヤモンド・オンライン)



● 1年間で使っているお金は? 総額を見て愕然とする

 今年は、いつもより「退職後の生活設計」の相談が多かった。従来であれば定年退職前後の方がほとんどなのが、今年は50歳前後から65歳くらいまで、幅広い年齢層の方が相談に訪れたのが特徴的。「老後不安」の高まりにより「早くから準備しなくては」と考える人が増えたことの表れなのだろう。

 相談の予約が入った段階で、下記のような「年間決算シート」を送付し、相談日までに、シートを使って収入と支出を「年単位」でまとめ、「昨年1年間で貯蓄できた金額」を調べる作業を依頼する。

 相談当日、「決算シートを書いてみて、いかがでしたか?」と聞いてみると、ほとんどの方が「こんなにお金を使っているのかと、驚いた」「見せるのが恥ずかしいくらいお金を使っていることがわかって、相談の予約をキャンセルしたくなった」と言う。「みなさん、同じようにおっしゃいますよ」と言いながら、コンサルティングを進めていく。

 さて、この作業で明らかになるのは、1年間で見た「手取り収入」「支出額」「貯蓄額」の3つの数字。大事な3要素であるが、多くの人はどれも日頃、意識していない数字なので、目の当たりにすると驚くのだろう。

 「手取り収入」は、額面年収から「所得税」「住民税」「社会保険料」を差し引いたもの。源泉徴収票と給与明細があれば、簡単に計算できる。

 みなさんが手間取るのは「年間支出額」と「年間貯蓄額」の把握だ。家計簿をつけていなくても決算できるシートを考案したので、家計簿の記帳の有無は作業時間には関係ない。現状把握に手間取るのは、家計に使っている銀行口座の数が多い人なのである。

● 勤務先の業績は言えるのに わが家の決算はわからないビジネスマン

 1つの例で見てみよう。

 A銀行……給与振込、住宅ローン返済、公共料金、クレジットカード(1)の決裁
B銀行……マンションの管理費・修繕積立金の引き落とし
C銀行……子どもの習い事の引き落とし
D銀行……クレジットカード(2)の決裁、生命保険料の引き落とし
E銀行……妻が食品を購入する際に使う流通系クレジットカードの決裁

 日常的に使っている銀行口座は5つ。これ以外に給与天引きで生命保険料を支払っていたりするケースも多い。

 「お金の出口」が多いと、問題点が2つある。

 まず、支出の整理に時間がかかる。たとえば「食費・日用品」の支出額は、A銀行で決裁するクレジットカード(1)の明細と、E銀行の流通系カードの明細と、現金支出を集計しないといけない。

 生命保険料は、A銀行決裁のクレジットカード(1)と、D銀行、給与天引きの3つから支払われている。ひとつずつは1万円に満たない保険料でも、すべて合計すると、月に5万円も支払っていることが、決算シートを書いてみて初めてわかったという人も少なくない。

 もう1つの問題点は、複数口座からお金が出ていくので、1ヵ月にいくら使っているのか金額を自覚しにくいこと。家計運営上、「わが家は1ヵ月いくらで生活をしているのか」というサイズ感を持っておくことは、とても重要だ。

 「1ヵ月の支出額」を把握しておくと、適正な積立額は簡単に見つけることができるし、勤務先の業績悪化で収入がダウンしたときにも、削減すべき支出額を計算することができる。

 もちろん、60歳以降の2回の収入ダウンの崖(60歳で定年になり再雇用で働いたときと、65歳で年金だけの収入になったとき)に落ちたときにも、「あといくら支出をカットすべきか」が明確になる。

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