企業物価は9年ぶりの上昇率、その効果は? (東洋経済オンライン)



 企業物価指数が上昇している。10月の企業物価指数は、前年同月比で3.4%上昇、99.4(2015年=100)で、2008年10月以来9年ぶりの上昇率を記録した。前年同月比では10カ月連続のプラスになっている。

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 同指数は、企業間で取引される商品の価格を反映する指数で、国内企業物価、輸入物価、輸出物価に分かれている。日本銀行が2%の物価目標を設定している消費者物価指数の先行指標にあたるため、その上昇ぶりには注目が集まっている。

■企業物価はなぜ消費者物価に波及しないか

 企業物価指数の好調は一見すると、消費者物価指数にとってポジティブに見える。しかし、効果はそれほど波及していない。企業物価指数の最終財の上昇率は8月に前年同月比プラス1.4%、9月に同プラス1.5%、うち消費財は8月にプラス1.6%、9月にプラス1.7%と確実に上昇しているのに対し、9月の消費者物価指数は、前年同月比プラス0.7%、生鮮食品やエネルギーを除いたコアコアCPIでも同プラス0.2%で、ほとんど上昇していない。その分のコストは企業が吸収している状態にある。

 効果が波及していないのは、現在の企業物価指数の中身に原因がある。みずほ証券シニアマーケットエコノミストの末廣徹氏は「上昇のほとんどは為替と原油で説明可能で、企業同士の需要と供給の関係で物価が決まるような製品はあまり上がっていない。」と語る。実際に寄与度を見ると、石油や化学薬品といった、原油を材料とするものが並んでいる。同氏は、「これらの影響は一時的なものであると考えられているため、企業側も値上げには踏み切れない」という。企業にとっては我慢の時間が続いている。

 輸出物価と輸入物価の差にも注目すべきだろう。今回の10月速報値では、輸出物価は円ベースで前年同月比9.7%上昇、輸入物価は15.3%上昇と輸入物価の方が大きく上がっている。原油高が進んだ9月、10月にかけて日本企業にとっての交易条件は悪化している。

 輸入サイドでは、原油の上昇の影響を企業から家計まで幅広く受けているが、輸出サイドの価格上昇は限定的で、国内での負担感は強くなっている。

■交易条件悪化で苦しむ内需中心の中小企業

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